橋本紡「九つの、物語」
評価:B
なんとも言えない。
最近の橋本さんはずいぶんと女性を主軸においた文章が多く見受けられる、顔も知ってるし男だってわかってるのに繊細すぎる文章が非常にツボで、男女の機微を書くのが非常に上手くなってて、例えば「月光スイッチ」とかに近い感じ。まあ「九つの、物語」のほうが好きだけど。
思うんだけども、この人は「ライトノベル」を書いていた時の「勢い」をわざと消して書いているような気がする。文章一つ一つを心をこめて丁寧に綴って、読者の心のどこかにコトリと落ちるようなそんなものを書きたいように見受ける。一応発売されている既刊は全て目を通しているファンとして、そう思う。
彼の持ち味ではある。確かにそれはある。
何気ない日常を描く彼の物語が大好きである。
しかし、「勢い」を削ぐ必要はそこには無いように思う。
上手く言えないが、非常にいまひとつな小説だった。