プレミアムビールとは

■プレミアムビール“安売り”攻勢! キリンが「一番搾り」を大リニューアル
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090123-00000001-diamond-bus_all


以前全力でこき下ろさせていただいた*1「ダイヤモンド・オンライン」がまた間違ったビール観を語っていたので、いい機会と言うことで一度見直そうと思う。
テーマは、


“プレミアムビールとは何か”


である。


そもそもプレミアムビールと言う単語は存在しない、メーカーが作った造語であり、メーカーにより基準も違うと考えていい、非常にアバウトなものである。


Wikipediaによると、
「プレミアムビールは、原料や醸造方法にある種のこだわりを持たせた高級志向のビールのことである。一般的には、大手ビール会社が醸造する定番商品に対して、価格が高く設定された高級志向の商品を指すが、プレミアムビールの明確な定義は存在しない。」


とのことで、やはり明確な基準は存在しないことになる。
しかしこの記事の編集者である小出という記者は「一番搾りをリニューアル!」と言う記事を、独自のフィルターを用いて「一番絞りがプレミアムビールにリニューアル、しかもお値段据え置き!」という記事に変換し垂れ流しているわけである。


ここで、各社の販売しているプレミアムビールを見てみると、


サントリー
  →ザ・プレミアムモルツ麦芽・ホップ)
・サッポロ
  →ヱビス麦芽・ホップ)
  →エーデルピルス(麦芽・ホップ)
・アサヒ
  →プライムタイム(麦芽・ホップ)
  →熟撰(麦芽・ホップ・米・スターチ
・キリン
  →ブラウマイスター麦芽・ホップ・
  →ニッポンプレミアム(麦芽・ホップ)


キリンのチルドビール類は今回置いておく。
また、Wikipediaにはハートランドもここに入るように書かれているが自分はハートランドはプレミアムビールではないように思うのでここでは取り上げない。


プレミアムビール=麦芽100%だとするならば、いくつかのビールはプレミアムビールでは無いことになってしまう。
また、プレミアムビールでないにも関わらず麦芽100%のビールも存在する。サントリーの「モルツ」、サッポロの「サッポロクラシック」「冬物語」などである。これらはレギュラービールの価格帯でありながら麦芽100%であり、この記者の観点から言うならばプレミアムビールになってしまうわけだが実際はそうではない。


まとめるとこういうことである。
麦芽100%のビールは“オールモルトビール”と呼ばれるものであり、だからプレミアムビールだ、と言うのは間違いである。必要に応じて米やスターチを入れることで、更に美味しくしようとした結果である。(日本食に合うよう変化したと言っても良いかも知れない)
プレミアムビールとは、レギュラービールと比較すると少しいい素材を使用した、こだわりのビールだと自分は思う。メーカーの(ビール職人達の「いいビールを造りたい」という)エゴであり、ユーザーの「ほんの少しの贅沢」と言った嗜好を同時に満たす。
常飲すると財布に痛いので、たまに飲むと「あー、やっぱ美味いなあ」と思わせてくれる素敵なビールである。


記者はこう書いている。
「プレミアムビール市場に、キリンがレギュラー価格で殴り込んでくるのだから、サントリーもサッポロもたまったものではない。」


お話にならない。前回も思ったが、記事として世に出る前にチェックする機関が報道機関には存在しないのだろうか?
(毎日変態新聞騒動を見るに、ないんだろうけども)


キリンで一番売れているビールはこの一番搾りである。
つまりこの方向性が支持されていると考えることが出来、今敢えてオールモルトにする必要性は感じられない。個人的にはオールモルトビールのほうが好みで現行の一番搾りは酸味のきつさから敬遠していたわけだが、それがいい、と言ってくれていた顧客がどういう判断を下すか非常に恐ろしいものがあると思う。


既存顧客の舌を満足させた上で、新規顧客が望めるかどうか、プレミアムビールだのどうだのと言った話はおいておいて、非常に楽しみであります。